シンガポールにおいてイスラム教とは?


みなさんのご存知、中華系、マレー系、南インド系などなど、多民族国家であるシンガポールでは宗教も様々です。

比率は以下の通り。

 

仏教 33%
キリスト教 18%
無宗教 17%
イスラム教 15%
道教 11%
ヒンズー教 5%
その他 1%

*シンガポール統計局 Census of Population 2010  より

 

「シンガポールといえば中華系」というイメージが強いシンガポールにおいて、イスラム教はどのような位置付けなのでしょうか?

 

シンガポールにおけるイスラム教の歴史

少々難しい内容になりますが、大事なシンガポールにおけるイスラム教の歴史について。

 

イスラム教がマレー半島(現在のシンガポール、マレーシアを構成する半島)に到来して以来、マレーの王国(スルタン朝)は長年イスラム教を基礎とする「イスラム官僚制度」を採用してきました。

 

1500年代のマラッカ王国および、1824年まで現在のシンガポールが一部を成した次のジョホール王国では、シャリーア法(イスラム法)が国家の法律として適用されていたことが記録されています。しかしイギリスのシンガポール植民地化を機に、シャリーア法は国家の法律から、属人法に格下げされます。

 

1915年、イギリス植民当局はイスラム諮問委員会(Mohammedan Advisory Board)を立ち上げました。当委員会は、イスラム教とその慣習に係る問題について、植民地統治者であるイギリス帝国に助言する義務を有していました。

 

1963年、シンガプーラ(=シンガポール)はマレーシア連邦に統合されましたが、1965年に独立。独立したシンガポール共和国の憲法には、マレー文化およびイスラム教の特別な地位に関する2種類の条項、第152条および153条が含まれていました。

 

第152条:

  • 政府は、シンガポールの民族および宗教における少数派の権利を、常に保護する義務がある。
  • 政府は、シンガポールの先住民であるマレー人の特別な立場を認識し、その機能を行使しなければならない。従って、同民族の政治、教育、宗教、経済、社会、文化的権利およびマレー語を保護、防衛、援助、促進する義務が政府にある。

 

第152条 第2項に基づき、シンガポール政府は、イスラム教徒間における民族的および宗教的な緊張を避けるためと、マレー文化とイスラム教と強く密接に一致するマレー・イスラムのアイデンティティのために、宣教師たちがマレー人口をイスラム教から他宗教へ改宗を促す布教活動を抑制しています。

 

第153条:

議会は、法律により、イスラム教活動の規制のため、また同宗教関連の問題において大統領に助言を行う理事会を構成するための規定を設けることが義務づけられている。

 

1966年、シンガポール国会はイスラム法施行法(AMLA)を通過。この法律は1968年に施行され、以下の3つの主要なイスラム機関の権限と管轄について定義されています。

 

1.The Islamic Religious Council of Singapore(MUIS:シンガポールイスラム評議会)

Majlis Ugama Islam Singapura (Muis) とも呼ばれ、ムスリムに関連する事項について管轄する法定機関

 

2.The Shariah Court(シャリア裁判所)

AMLAによって定義された紛争を扱う管轄裁判所

 

3.The Registry of Muslim Marriages(ROMM:ムスリム婚姻登録所)

夫及び妻の双方がムスリムである場合に登録を行う機関。夫または妻のいずれかがムスリムでない場合については、ROMMではなくシンガポール結婚登録所にて登録を行う。

 

これらの機関の責任はムスリム担当相にある一方、その権限は地域開発青少年スポーツ省 (MCYS)の権限下にあります。

 

シンガポールにおけるムスリムの祝日

ハリラヤプアサ:

 

イスラム教とは、神からの恩恵に感謝し、貧しい者の苦しみを味わうことで弱い立場の人々を労わるといった目的から、年に一度、「ラマダン」と呼ばれる1ヶ月の間、「プアサ」と呼ばれる断食をします。

「ハリラヤプアサ」はプアサ(断食)の終わりを祝うお祭りです。

日本の正月似ており、朝はイスラムにおける正装を着てモスクで礼拝をし、その後は家族で集まりご馳走を食べたり、親戚巡りをします。

 

また、ラマダンの1ヶ月間は、ゲイランセライというエリアがライトアップされ、出店が出現しものすごいお祭りの雰囲気を楽しむことができます。今年のラマダンは5月27日から6月25日ですので、その間にこのマーケットとライトアップをレポートします!

 

ハリラヤハジ:

 

ハリラヤプアサと比較するとあまり耳に馴染みがないハリラヤハジ。

ハリラヤハジは「聖地巡礼祭」と「犠牲祭」という、2つテーマがあるお祝いです。

 

「聖地巡礼祭」はイスラム教徒が聖地メッカを巡礼する「ハジ」の最終日をお祝いします。

 

「犠牲祭」は、神の預言者イブラヒムが、神の命じに従順応じて、自身の息子を生贄として差し出したことを記念する祭り(実際には、神はエイブラハムを止め、代わりにヤギを生贄にしたとされています)

 

この日にイスラム教徒は家畜(ヤギや羊や牛)を生贄として捧げ、モスクで生きたままの家畜を捌き、貧しい人々に分け与えます。

 

ムスリム関連の施設

モスク:

 

イスラム教徒言えばモスク!シンガポールのモスクと言えば、アラブストリートの中心にあるスルタンモスクが有名ですが、

小さいものも含めて、実はこの小さいシンガポールに約70ものモスクがあります。

 

イスラム教徒の学校:

 

マドラサ と呼ばれる、イスラム神学校がシンガポールにも6校存在します。

 

で、シンガポールでは「ムスリム」はどういう立ち位置なのでしょうか?

シンガポールでは同僚や友達や街で会う人がムスリムということも日常のことです。

シンガポール人であれば、中華系であっても、インド系であっても、小さい頃からクラスメートがムスリムということが当たり前です。

 

そのため、友達同士で食事に行く際には豚肉が入っているかどうか注意したり、ラマダンの際にはお菓子を勧めたりランチに誘わないよう心がけたり、そういったことが「当たり前」の世界です。

 

また、ハラル(イスラム教で許可されている食べ物)の料理を提供している店にはハラル料理を提供する店であることを証明するステッカーが貼られていたり、ハラル料理を提供しておらずとも、豚肉を使っていないということを示すために「no pork no lard」と書いているお店も多くあります。

 

もちろん、ヒジャブをつけている女性を見ること日常の一部なので、ヒジャブをつけている女性を見て驚く、なんていうことももちろんありません笑

 

 

やはり他民族国家であるシンガポールにおいては、宗教についてもやはり寛容で、「違って当たり前」の社会なのだと気付かされます。

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